懐かしの音源シリーズ(1) 25年前の記念演奏と、記録の大切さ

先日帰省した際、長年ほったらかしにしていたカセットテープ3本を東京に持ち帰ってきました。
テープがダメにならないうちにCDにしてもらうためです。
いずれも、高校時代のブラスバンド部の演奏の録音テープです。

カセットテープのCD化はビックカメラで頼んできました。
実際の作業はサウンドハウスが請け負っているようです。
テープ1本につき5000円という高価なサービスですが、プロに任せることにしました。

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元のテープはTDKのMA-XとSA-X、懐かしい!!ですね。

いずれも、当時のオーディオカセットのラインナップの中でも特に高価なもので、特にMA-Xは最高級品でした。
しかし、それに見合うだけの高品質の音を聴かせてくれましたし、TDKのカセットテープは、繰り返し再生しても
テープの傷みが少なく、長期間の保存に耐えうると判断して、この2種を選びました。

高3の春頃、同じクラスだった放送部のNくんに頼んで、放送部管理のテープとカセットデッキを借りてダビングした
もので、おそらく、当時の部員の中でもこの録音を持っているのは、私と、ついでにダビングしたテープを渡した
Sくんだけだと思います。

CD化された音を聴いてみると、テープの劣化に起因すると思われる音の揺れがごく一部にあります。
どこまでがテープの原音で、どこまでが修正・補正されたものかはわかりませんが、25年前のテープにしては
音の状態は非常によく、ありがたいことに、十分鑑賞に堪える音質が確保されています。

上等なカセットテープに残しておいて正解でした!

ここでご紹介するのは、MA-Xに収録したお気に入りの録音で、鮮明で聴きやすい音で録音されています。

昭和60(1985)年11月15日、高2の秋に堺市民会館で行われた、三国丘高校の創立90周年記念式典。
この席で我々ブラスバンド部が演奏したのは、A.リードの『吹奏楽のための第2組曲』。

当時、コンクールにまったく目もくれずマイペースで活動していた私たち、もちろん、腕も知れてました。
実際、6日前の11月9日に学校の講堂で行われた「音楽祭」の録音など、とても公開できる代物ではないのに、
なぜか15日の記念演奏だけは、我々の演奏とは思えないほど立派な?演奏で、部員みんなで「奇跡の演奏!」
などと自画自賛した記憶があります。

日ごろの練習や演奏会は、今はなき旧本館の音響最悪の講堂を使っていましたが、この日の式典では、
いちおう地元では一番の堺市民会館が会場で、1700人近い全校生徒が出席するなど、普段の何倍(何十倍?)
ものお客さんの数だったから、いつもとは違う、非日常を演出する「何か」があったのでしょう。

さて、こういう式典に、メインとなる2年生の立場で参加できるのは、実は10年に1学年しかないんですよね。
身内での呼び名「三丘生(さんきゅうせい)」の中でも、文字通り「さんきゅうせい」である私たち第39期生は、
とても幸運だったと言えるでしょう。

あらためて演奏をじっくり聴いてみると、テープに入りきらないほどのエネルギーに満ちています!!
いやあ、結構うまいわ(自画自賛しているのではなく、他のパートがみんなうまい!!)
よく歌うクラリネット、圧倒的な音量で楽団を制圧してしまったトランペット、シロフォンの妙技などなど・・・。

冷静に聴けば、技術的にうまい演奏はほかにいくらでもありますが、技術指導者もつけず、指揮も部員という
完全自力練習のなかでここまで演奏できたのだから、みんなよく練習したということですね。

かく申す私のパートはティンパニ。
リズムが甘いところが多々ありますが、このノリは今の自分には真似できないかもしれません。
こういうノリというのは、いつでもだれでも出せるものではありませんし、本人でさえ再現できないものなのです。

演奏会というのは、ただ単に音を出すだけの場ではないんですね。
演奏会や曲にかける思いというのは、苦労が多ければ多いほど強くなるものです。
そんな思いはもちろんのこと、音楽観、さらには人生観までも!音に託して人に伝える場なのです。
この人に聴いていてほしいと思う相手が客席にいれば、自分でも信じられないような音が出るものです。

本番という特別な環境と精神状態の中で生まれた音というのは、どんなに頑張っても二度と出すことはできない、
まさに「一度限りの音」なのです。

そして、たった一度限りの音だからこそ、可能な限りよい条件で記録しておかなければならないと思うのです。
二度とやってこない一瞬を残すための写真と、発想は同じですね。

さて、楽章間で、ティンパニの小さな音が聴こえてきますが、これはチューニングの音です。
当時、ペダルティンパニなんて高級な楽器はなく、たくさんあるネジを一つずつ回してチューニングしていました。
おおよその目安として、ネジを45度回転するとだいたい半音くらい上下するとか、90度回転すると1音くらい
上下するとか、演奏中にチューナーなしでもある程度チューニングができるように、いろいろと研究していました。

第4楽章後半の一部で、AとEの音が聴こえませんが、これは、どうやってもチューニングが間に合わなかったため、指揮者のHくんと相談して、音無しで切り抜けた(というか我慢した)ものでした。
終わりのひとつ前の、上のGの音がバチの場所がちょっと外側に寄ってしまって、ほんの少しだけなんですが、
音がかすれてるんですね。

この微妙なかすれは、YouTubeのモノラル音声でもはっきりとわかります。

あのときの手の感触と、「あ、(叩く位置が)ずれた!!」と感じた瞬間は、24年経った今でも忘れません。

前半


後半


ちなみに、(前半)の背景の校舎は、今はなき本館、(後半)の背景の校舎は、今も残る西館です。
昭和60年6月の撮影です。

この日同じ舞台に立っていた仲間たちは、今どうしているのかな・・・。

ちなみに、11月9日の音楽祭と、同15日の記念演奏を控えてまる1日練習が入った10月27日の午後、
練習をサボって(家の用事で帰るということにしていた!)、制服姿のままで・・・

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南海電鉄の住之江検車区に、11月1日のデビューを控えた新型特急車両「サザン」の見学会に行ったのが
いい思い出だったりします。

この写真を撮っていた頃、他の部員は練習に勤しんでいたのですね。
Hくん、そしてみなさん、ごめんなさい!!

さて、最近ものすごく感じること、それは、「記録」というものは絶対にケチってはいけないということ。
カラヤンが執拗に新録音を残した気持ちが、ほんの少しだけれどもわかるような気がしています。

この演奏記録も、安物テープだったら、ここまでの音は残っていなかったでしょう。

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この記事へのコメント

tattoo!
2011年12月03日 22:06
この演奏で同じステージでバリトンサックスを吹いていた、同期のものです。
ほんとに、よくこれを保存していた。感動的だ。
ラピート君の言う通り、記録の大切さを思わずにいられない。
この演奏は、この一回きりの演奏だったんだ…二度とはできない演奏なんだ。
ラピート君のこの文章は、ステージに立っていた団員全ての心を必ず打つことだろう。。。
ひとりでも多くの団員に届いてくれたらいいのに、、と俺も願わずにはいられない。
2011年12月05日 00:27
たった一度だけかもしれないけど、いい演奏ができた。その記録がこのように恵まれた形で残されたことは本当にありがたいことです。マイクセッティングがとてもよかったおかげで、団員一人ひとりの生き生きとした演奏の表情がそのまま収録されていて、感動的です。
この録音は、あの頃の自分の懐かしい記録であるだけでなく、同じ舞台に立った仲間たちと若い頃の思い出を共有できる、かけがえのない宝物です。
この録音を提供してくれた放送部のNくんにあらためて感謝します。

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